「つくる」だけでなく「つなぐ」ことも価値になる。現代生活学科の学生が、日本生産性本部との連携授業で「リンクワーカー」について学びました(7/16)
生活科学部現代生活学科の「ビジネス特論b(地域ビジネス)」(担当:倉持一准教授)では、地域で生じる社会課題に対し、コミュニティの力とビジネスの考え方や手法を生かして解決を目指す「地域ビジネス」について学んでいます。
同授業で、公益財団法人日本生産性本部との連携授業を、7月16日に実施しました。日本生産性本部の三浦氏と社会教育士の齋藤氏が登壇し、「リンクワーカー—人・情報・実践をつなぎ、価値を生む—」をテーマに、人・情報・場・組織をつなぐことが、地域や社会にどのような価値をもたらすのかを考えました。
身近な行動から「リンクワーカー」の役割を考える
授業は、齋藤氏による「誰かに何かを勧めたり、紹介したりしたことはありますか」という問いかけから始まりました。
友人にアルバイト先を紹介する、おすすめの店やイベントを共有する、良かった商品やサービスをSNSで発信するなど、学生にとって身近な行動を例に挙げながら、「リンクワーカー」の役割について説明しました。
リンクワーカーとは、ソーシャルケア領域の用語で、医療福祉の専門職と地域住民・社会資源とをつなぎ、孤立防止や健康増進を支援する役割を指します。本授業では地域ビジネスの文脈に置き換え、人・情報・場・組織をつなぎ、新しい動きや価値が生まれるきっかけをつくる人と再定義しました。自ら商品やサービスをつくっていなくても、情報を必要とする人に届けたり、人と人を結び付けたりすることで、新たな価値や行動のきっかけが生まれます。
また、リンクワーカーは特別な職業や立場の人に限られるものではなく、学生自身も日常生活の中で、その役割を担う存在になり得ることが伝えられました。
「つくる人」だけでなく、「つなげる人」も価値を生む
続いて三浦氏が、リンクワーカーの具体的な事例として、日本生産性本部と、同本部に設置されているサービス産業生産性協議会の取り組みを紹介しました。
企業向けのセミナーや異業種交流会「SPRING Cafe」を通して、企業同士が学び合い、新たな連携を生み出す場をつくっていることや、日本国内の革新的で優れたサービスを表彰する「日本サービス大賞」について説明がありました。
「日本サービス大賞」については、単に表彰するだけでなく、受賞した取り組みを広く社会へ発信し、ほかの企業の学びや新たなサービス、イノベーションへつなげることも重要な役割と話し、表彰式での交流をきっかけに、受賞企業同士が新しいサービスを生み出した事例も紹介されました。
三浦氏は「商品やサービスを生み出す『つくる人』だけでなく、その価値を見つけて社会へ伝え、企業や組織を結び付ける『つなげる人』も、価値を広げる上で大切な存在」と語りました。
グループワークとトークセッションで学びを深める
サービス産業生産性協議会の説明の後、学生たちはグループに分かれ、「ここまでの話で印象に残ったこと」「自分が人や情報をつないだ経験」をテーマに、約10分間のディスカッションを行いました。
それぞれの身近な経験を共有し、自分たちの行動をリンクワーカーの視点から捉え直し、人や情報をつなぐことで生まれる価値への理解を深めました。
その後、齋藤氏と三浦氏、倉持准教授によるトークセッションを行いました。自身の経験を振り返りながら、「つなぐこと」の価値や、学生生活の中で「つなぐ力」を高める方法について意見を交換しました。その中で、企業同士や企業とNPOなど、立場や目的の異なる組織をつなぐことの意義についても話が及びました。
また、学生時代の先輩と後輩の関係のような「ゆるいつながり」の大切さや、人や組織をつないでいくときのポイントや面白さなど、今後の就職活動や将来の仕事にも活かせる実践的な内容が語られました。
最後に倉持准教授は、「これまでの授業では、個人の選択や満足だけでなく、地域や共同体全体の『幸福』を考えるコミュニタリアニズムの視点や、社会的価値と経済的価値の両立を目指すCSV(共通価値の創造)など、地域社会を豊かにするための考え方や手法を学んできた。それに加え、地域の課題解決には、人と人が『つながること』や、誰かと誰かを『つなげること』も大切。これまでの授業内容と今回得た学びを一体的に捉え、これからの地域やコミュニティのあり方を考えてほしい」と学生たちに呼びかけ、授業を締めくくりました。
授業後のアンケートでは、学生から「これまで人手不足は働く人を増やすことが解決策だと思っていたが、人と地域、事業者をつなぐことも課題解決につながると分かった」「目に見えるつながりだけでなく、さまざまなつながりの形や価値の生み出し方があることを知った」「リンクワーカーは特別な人だけが担うものではなく、自分も日常生活の中でその役割を果たしていることに気付いた」といった声が寄せられました。
今回の授業は、地域や社会の課題に関心を持ちながらも、何から始めればよいか迷っていた学生たちが、自分にもできる一歩を考える貴重な機会となりました。
受講した学生のコメント
- ゼミでは地域コミュニティや人とのつながりについて学んでいますが、企業同士のつながりや、それを支えるサービスについては知らないことが多く、新たな領域に目を向けるきっかけになりました。就職活動でも、これまで知らなかった領域に自分から踏み出し、知りに行くことを大切にしたいです。(現代生活学科3年 岩田美咲さん)
- トークセッションでは、異なる業種の企業同士が接点を持つことが難しい中、日本サービス大賞の授賞式をきっかけにつながり、新しい取り組みが生まれた事例が特に印象に残りました。私は人見知りなところがありますが、今回のお話を聞いて、まずは一歩踏み出すことが大切だと感じました。グループワークや人前で話す機会でも、自分から積極的に行動してみたいです。(現代生活学科3年 藤原芙祐実さん)
- 「リンクワーカー」という言葉を初めて知り、最初は大きな成果を出すことが必要なのだと思っていました。しかし、情報を共有したり、家族に話したりすることも、人と人をつなぐ大切な役割だと分かりました。また、企業同士をつなぐ仕事にも魅力を感じたので、就職活動では、これまで見ていた企業だけでなく、そうした役割を担う企業や団体にも目を向けてみたいです。(現代生活学科3年 徳留理奈さん)







