学長メッセージ

実践女子大学短期大学部
学長 城島 栄一郎
本学は「女性が社会を変える、世界を変える」を建学の精神とし、社会を変革し未来を切り開いていく女性を育成することで、世界と地域に貢献することを目指しています。
2015年9月国連により定められた持続可能な開発目標(SDGs)は、「地球上の誰一人として取り残さない」という考えのもと、世界を変革していく地球規模の課題であり、私達は深くその趣旨に賛同いたします。
本学では、SDGsの課題について積極的に向き合い、教育、研究、地域連携・社会連携、課外活動等による取り組みにより、より良い社会の実現に貢献していきます。
SDGs(持続可能な開発目標)とは
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます
SDGsの達成に向けた実践女子大学・実践女子大学短期大学部の取り組み事例
4:質の高い教育をみんなに
「世界のお友達とホリデーカードを交換しよう!—Holiday Card Exchange Project 2019」のワークショップを開催しました
短期大学部 日本語コミュニケーション学科 大塚みさ教授
短期大学部 英語コミュニケーション学科 三田薫教授
栗田智子非常勤講師

このワークショップはグローバルな国際協働学習ネットワーク、iEARN (International Education and Resource Network)のグローバルプロジェクトで、世界の子供たちがホリデーカードを交換し合うことにより、自国と他国との文化を相互に学び、異文化コミュニケーションへの興味を育てるとともに国際的視野を養い、そして世界の人々の多様性を学ぶことを目的としています。本学での開催は2016年度から4年目となります。
今年はカナダ、スロベニア、ベラルーシ、モルドバ、ロシア、台湾の6カ国、計8校がパートナー校となりました。

学生たちは9月から毎週ミーティングを開き、熱心に準備に当たってきました。企画と運営、事前学習用スライドの作成、ビデオレターの作成、そして当日のファリシテーターまですべてを学生たちが中心となって行いました。その結果、常磐松小学校放課後クラブでのカード作成活動(11月14日)、カード作成を中心とした1回目のワークショップ(12月1日)、そして海外から届いたカードを鑑賞する2回目のワークショップ(1月13日)を成功させることができました。活動に携わった学生は短期大学部1、2年生計24名です。
子供たちは英語でメッセージを書いたり、折り紙を使ったりしながら心のこもったカードをたくさん書いてくれました。海外から届いたカードは、短大生がわかりやすく翻訳してポスターにまとめ、それをもとに子供たちが相手国の文化を学び取り、気づきを分かち合うことができました。
【大塚みさ教授、三田薫教授のコメント】
ミーティングやワークショップを重ねるたびに、学生たちからの提案が増え、その表情にも頼もしさが感じられて行きました。この活動を通して、学生たちはDPに掲げられた「国際的視野」「行動力」「協働力」を高めることができ、また幅広い年齢の子供たちや保護者の方々とのコミュニケーションを通して一回りも二回りも成長を遂げることができました。
取り組みの参加者
本学学生、常磐松小学校放課後クラブ児童、近隣の未就学児~中学生、保護者
取り組みの実施期間
2019年9月~2020年1月
参考URL
11:住み続けられるまちづくりを
地域で幸福に暮らす—エイジング・イン・プレイスの条件
人間社会学部 人間社会学科 原田謙教授

人間社会学科の原田謙研究室は、東京都内の3自治体(墨田区、世田谷区、多摩市)に在住の55歳から84歳の方を対象に「東京で暮らす中高年者の居住満足度に関する調査」を実施いたしました。本調査は、家庭(第一の空間)、職場(第二の空間)ではなく、地域という「第三の空間」に着目しました。とくに、人生100年時代と言われるようになった今日、東京という大都市において幸福に暮らしていく条件、すなわち住み慣れた地域で年齢を重ねていく条件(エイジング・イン・プレイス:Aging in place)は何かを考えることは、ますます重要になってくるでしょう。
分析の結果、「この地域の人々は信頼できる」「この地域の人々は喜んで近所の人を手助けする」といった項目で測定した集合的効力感(collective efficacy)が高い地点に住んでいる人ほど居住満足度が高いことがわかりました。さらに、空き巣やひったくりといった犯罪被害の認知が低い地点に住んでいる人ほど居住満足度が高かったのです。集合的効力感とよばれる近隣への信頼と期待、そして治安の良さが、高齢になっても住みづけやすい都市生活において重要であるといえるでしょう。
また、公共施設やサービスの満足度の結果をみると、いずれの自治体でも、バス・電車などの公共交通機関や、スーパー・コンビニなどの商業施設に対する満足度は高くなっています。一方、図書館・美術館などの文化施設や体育館・プールなどのスポーツ施設に対する満足度が低くなっていました。文化やスポーツといった「都市におけるアメニティ(快適な環境)」の充実が、自治体に求められているようです。
本研究室では、今後も学生とともに、高齢になっても住み続けられる「まちづくり」について探究してまいります。
本調査は、科学研究費補助金(17K04152)「都市部における高齢者の居住満足度に関連する地域環境要因」による研究助成を受けました。
取り組みの参加者
「都市と地域の社会学(原田ゼミ)」の学生
取り組みの実施期間
2018年9月~現在
参考資料
12:つくる責任 つかう責任
「つくる責任・つかう責任」の実践である「エシカル消費」推進策に関する論文を発表しました。
人間社会学部 現代社会学科 井上綾野准教授

近年、SDGs12の「つかう責任・つくる責任」の実践として、社会的な課題解決を目的とした製品を選択し消費する「エシカル消費(倫理的消費)」が注目を集めています。その一方で、エシカル消費の普及・推進には様々な課題があることがわかっています。エシカル消費推進にあたって消費者庁を中心に、「エシカル・ラボ」等の普及推進活動がなされていますが、「エシカル消費とは何か」という内容を「知る」段階にあり、「購買」には繋がっていないのが現状です。具体的には、「倫理的な商品は価格が高い」「入手可能性が低い」「普及率が低い」ことが課題とされています。
本研究では、事例研究及び経験的研究の結果に基づき、実際に倫理的製品を購買してもらうためのエシカル消費推進策として、下記の3点を挙げました。
①イギリスにおけるSainsbury'sのように、プライベート・ブランドにフェアトレード等の認証を取得した製品を導入し、認証がない製品との価格差を小さくし、消費者に手に取ってもらえる機会を増やすこと
②スターバックスコーヒージャパンや合同会社nimai-nitaiのように、これらの製品を購入することによってどのような結果がもたらされるかを消費者に開示すること
③消費者に倫理的製品を選択しないことによる「罪悪感」を喚起させ、次回の購買に繋げること
このような推進策を通じて、企業側が「エシカル消費」の社会的課題の内容のみならず、取組の結果も含め、消費者にわかりやすく伝えるとともに、製品を手にとってもらいやすい環境づくりが求められています。
取り組みの参加者
井上 綾野
取り組みの実施期間
2019年8月30日