実践ウェルビーイング・プロジェクト
ウェルビーイングとは
16世紀のイタリア語「benessere(ベネッセレ)」を始原とする概念では、「よく在る」「よく居る」「よい状態である」ことを意味します。
日本語で確立された直訳はなく、「幸せ」と訳されることが多いです。本来はHappiness以外の要素も包含しており、様々なステークホルダーと調和のとれた、良好で充実した状態を指します。
Well-beingの判定は、GDPなどの客観的指標と、幸福度などの主観的指標があり、必ずしも両指標が同じ方向に連動するわけではありません。
これまでの研究から、社会で暮らす人々の主観的なWell-beingが悪化すると、政治や社会の混乱をもたらすことが報告されています。
JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)
2050年責任世代の皆さんに“少しでも良い形でバトンを渡したい!”
■GDP世界3位の日本、しかし国連の国民幸福度調査では54位に低迷、ジェンダーギャップ指数では、調査国約146か国中125位に位置付けられている。(ともに2022~23年最新データ)
■大きな経済成長が望めない21世紀に、日本国民として「実感としての豊かさ」とは何かを考えみたいと思う。
■SDGs のゴールは2030年、17の全ての目標到達は難しいし、そこで終わりではない。皆さんが社会で活躍するのは、それ以降だと思う。
■人口問題、地球環境の問題、経済成長の問題、資本主義の問題、国際情勢の問題等など世界では次々と問題が顕在化
■勿論、「ThinkGlobal」の視点は欠かせないこと、しかし、今改めて「ActLocal」で眺めると、日本国内でも、数えきれない課題が。
■政治が何とかしてくれる、企業が貢献してくれる、というような他人依存型で良いのか、自らが基点となって行動を起こさなくては何も変わらないのではないか。
そこで、JWPでは、SDGsBeyondを皆さんとともに考えてみたい。
実践女子大学の学生として、もっとも“先を読める”学生を目指しませんか!
深澤教授メッセージ
キャリア教育科目を履修してくれた学生たちに、さらなる成長のために何が出来るだろうか?そんな問いの答えが、正課外プロジェクトの推進であった。その第一弾は、2014年から8年間にわたって繰り広げた「東京2020オリンピックパラリンピックプロジェクト」であった。延べ10,00人を超える学生たちが参加してくれた本プロジェクトが閉幕し、第二弾を考えていた時、私の眼の前に現れたのが「ウェルビーイング」であった。
もともとウェルビーイングという概念は戦後まもなく生まれていたが、メジャーな言葉として目にするようになったのはここ数年である。最近は、企業も「ウェルビーイング経営」などに本格的に取り組む時代を迎えており、この流れに注目するうちに、キャリア教育の究極の目的は、学生たち一人ひとりのウェルビーイングを考え、その実現に向けたサポートにあるのではないかと思った次第である。
サスティナブルな世の中を考え、SDGsに取り組む中で、そのゴールは2030年、今の学生たちは20代、私が考えたのは、その一歩先、「SDGs Beyond」を見据えることであった。学生たちに世の中の動きのその「一歩先」を考えられる人になって欲しい、2020年責任世代の私が、2050年責任世代の学生たちに、少しでも良い形で襷を繋ぎたいと考えたのである。
2021年に約20名のメンバーで立ち上げたプロジェクトも3年目の2023年は50名を超えるチームとなり、企業にお邪魔したり、幸福学を学んだり、自らワークショップを企画運営したりと、授業でもなく、ゼミでもないこのプロジェクトに対し、主体的に参加してくれている姿を見ていると、私自身がウェルビーイングを感じることになる。
まだまだ解像度の粗いものであるが、粛々と、学生たちとともに考え続けていきたいと思う。
取り組み事例
その他の事例
- 東急×JWP「人生100年時代のウェルビーイングを語る世代を超えたワークショップ」を開催しました(1/13)
- スポーツを通じたウェルビーイングとは?JWP研究会がパラ卓球選手をお迎えし、イベントを開催しました。
メディア掲載
私のウェルビーイング
福田 悠乃さん
以前は、幸せそうな友人のSNSの投稿を見て自分と比較して落ち込むこともありましたが、ウェルビーイングを学ぶようになって自分なりの幸せを見つけられるようになりました。
他人ではなく自分自身の軸を大切にし、自分がどんなことに幸せを感じるのか考えるようになったことで、日々の幸福感も増しています。また、JWPの活動を通して深澤教授やかけがえのない仲間と絆を深められたことで、周囲の方々への感謝の気持ちを強く持つようになりました。これまで私を支えてくれた人とたちのためにも、誰かに喜んでもらえるような仕事をしていきたい——。
自分自身が活躍する姿を見せることで、後輩たちにも希望を届けたいです。
竹川 歩さん
JWPの活動を始めた当初は、普段の生活が当たり前にあることがウェルビーイングだと考えていました。
しかし、さまざまな取り組みを通して、私にとってのウェルビーイングのキーワードは「余裕」だと思い至りました。自分の心に余裕があれば人に優しくできますし、その優しさがほかの誰かに向けた優しさへとつながり、ポジティブな連鎖が生まれるからです。
卒業して社会に出れば、学生時代には経験しなかったような困難に見舞われることがあるかもしれません。だからこそ、自らウェルビーイングを実践することが大事だと考えています。仕事の質を高め、良好な人間関係を築くためにも、これからも努力を続けていきたいです。
齋藤 由佳さん
JWPのメンバーに加わってから、「幸せってなんだろう?」と考えることが増えました。
そして、幸せは身近なところにあると気付きました。同時に、上京して大学に通う私をサポートしてくれた両親や、JWPで共に活動してきた仲間たちの存在のありがたさを再認識し、それが私のウェルビーイングを形作っているのだと実感しました。
このような経験から、卒業論文はウェルビーイング経営をテーマに執筆。より深くウェルビーイングを学び、企業が考えるウェルビーイングの意味や捉え方、経営の動向を知ることができ、自分の中にこれまでにない新たな価値観が生まれたと感じています。おかげで、社会に出るための準備も整いました。
牛尾 恋々さん
JWPに参加した当初はウェルビーイングという言葉すら知りませんでしたが、活動を続けていくうちに小さな幸せを敏感に感じ取れるようになりました。
たとえば、家族そろって食卓を囲む——、それだけでとても幸せなこと。日々の生活の中にある幸せを感じ取る力が増したことで、自然とウェルビーイングを実践できているように思います。
そんな中で、人を笑顔にすることが自分の幸せに直結していることにも気付きました。「誰かの笑顔の始まりが私でありたい」、それが私のモットー。治安が良く衛生的な日本では、幸せについて考える機会が少ないと感じています。だからこそ、自ら行動して幸せの輪を広げていきたいです。
遠藤 美和さん
大学3年生の2月、JWPの活動の一環として「女子大生フォーラム」の運営に携わりました。
その際、実行委員のメンバーそれぞれに個性があり自分らしさの基準が異なること、それを尊重して取り組む姿勢が重要であることを知りました。一方で、ウェルビーイング経営や幸福学についても知見を深め、自分らしさがウェルビーイングの一つの鍵だと考えるようになりました。
卒業後は営業職に就きます。お客様一人ひとりに寄り添い、誰一人取り残すことのない丁寧な関わりを大事にしていきたいです。同時に、社会に属するすべての人々のウェルビーイングを模索しながら、より良い世の中の実現に貢献していきたいと思っています。