『民俗芸能ゼミ生がカンボジア古典舞踊の上演・ワークショップを企画』(9/27、28)
9月27日、28日に開催された渋谷キャンパス常磐祭に、民俗芸能ゼミが参加しました。
今年は、ゼミ生全員でカンボジア古典舞踊のステージ上演とワークショップを企画し、ゼミ生も司会と踊りで参加しました。
カンボジア古典舞踊の国内第一人者を招いて上演
日本で唯一のカンボジア舞踊家・山中ひとみ氏
今回、民俗芸能ゼミに協力してくださったのは、カンボジア王立プノンペン芸術大学でカンボジア古典舞踊を習得し、当時の芸術大臣ボッパー・デヴィ王女から古典舞踊の指導を許された、日本で唯一の舞踊家、山中ひとみさんと舞踊団SAKARAKのみなさんです。
企画は民俗芸能ゼミ生
きっかけは、ゼミ学生の素朴な疑問でした。本学のインターンシップでカンボジアを訪れた学生は現地の大学生と仲良くなり、伝統文化の話題になりました。すると現地の大学生は、カンボジアの伝統舞踊や音楽についていろいろ話してくれただけでなく、ほとんどがカンボジア古典舞踊を踊れるのだそうです。「え?なぜ私は日本の伝統文化について、なにも言えないの…?」大きな衝撃を受けた学生は考えました。どうして日本では伝統文化を義務教育で重視しないのだろうか。そんな学生の問題提起が、今回の企画を生んだのです。
文化庁助成の社会人講座でアートマネジメントを学ぶ
民俗芸能ゼミでは、学問の知識だけではなく実際に身体を使って伝統舞踊や民俗音楽を学びます。ゼミ生が2023年度と2024年度に参加した、東京音楽大学×文化庁「アートマネジメント人材育成」企画制作研修での経験が、今回のステージ上演・ワークショップ企画につながりました。「ソーシャル・インクルージョン(社会包摂)」をテーマに、だれでも芸術表現ができる社会をめざし、2年間研修で学んだ成果を披露しました。
なぜ日本文化ではなくカンボジア古典舞踊がテーマなの?
東京音楽大学×文化庁「アートマネジメント人材育成」企画制作研修では、祭囃子が持つ総合的な表現力やノンバーバル・コミュニケーション力を生かして、地域で多様な背景を持つ方々との出会いの場を作るプロジェクトにゼミ生がチャレンジしました。音楽教育学、音楽心理学、障害児の音楽教育、民俗音楽などを研究している専門家の方々のご指導のもと、小金井市にある貫井神社祭礼への参加や目黒流貫井囃子の皆さんと一緒にソーシャル・インクルージョンの実現を目指した2回のワークショップを企画し、実践しました。
今回の取り組みは、ゼミ生のカンボジア滞在中に体験した伝統文化教育をめぐるカルチャーショックがきっかけです。日本・アジアを取り巻く過去の歴史を考えたとき、戦争や紛争を無視することはできません。戦争は今もどこかで続いています。カンボジアも例外ではありません。こうした負の歴史を忘れずに、それぞれの地域の名もなき人々によって今に伝えられた文化を一つ一つ尊重し次世代に継承したいというゼミ生の気持ちを、カンボジア古典舞踊のステージ上演・ワークショップという形で具現化しました。
なぜ民俗芸能ゼミでアートマネジメントなの?
社会と芸術をつなぐ方法はたくさんあります。大学生は4年後に多くの方が社会に羽ばたいていきます。そのとき、実社会で出会った人と交わり、それまで「あたりまえ」や「常識」と思われていることに対し、ちがう視点から見て考える力をトレーニングし、居心地が悪ければ快適になるように少しずつ変化させていく、そんな「アートマネジメント」のデザイン思考を実践し、広めていくことが必要だと考えます。美術や芸術は、すべてが美しく、社会に役立つものではありません。美しいか美しくないかは見る人によって評価付けが異なります。役に立つか立たたないかは、実践してみなければわかりません。私たちは美学美術史学科で、芸術と社会をつなげる「アート・デザイン」思考を、これからも積極的に学んでいきます。
次のゼミ生企画はインドネシア・ジャワ宮廷舞踊
11月9日(日)に日野キャンパスで開催される常磐祭の「ゼミ生企画」第2弾は、インドネシア・ジャワ島の古都スラカルタ(ソロ)のクラトン王宮からお招きした、王家の宮廷舞踊手の美しく可憐な舞台を企画上演します!11月6日(木)、クラトン王宮の王女さまと宮廷舞踊手のみなさんが「楽舞玲瓏-王家の子女たちに託された祈りの舞」という公演のため、日本に来日しますが、実践女子大学のために特別に常磐祭で踊ってくださるそうです。王宮で継承された踊りは宮廷以外で踊ることがないため、今回は大変珍しい機会となります。みなさまのご来場をお待ちしています。
<東京音楽大学文化庁補助事業アートマネジメント人材育成>
https://www.tokyo-ondai.ac.jp/art_management/season2/2024/training_a.html
https://www.tokyo-ondai.ac.jp/art_management/season2/index.html
<「楽舞玲瓏-王家の子女たちに託された祈りの舞」公演情報とチケット>
https://www.gettiis.jp/event/detail/101668/reiro








