
特集① 留学生と図書館:留学生から見た図書館
世界的なグローバル化の流れの中で、大学も国際化を加速させています。本学では、2022年度から「世界を舞台に活躍できる学生を育成する」ことを目標に、全学的なグローバル化を推進しています。海外協定校からの留学生の受け入れを積極的に進め、日本人学生と留学生が共に学ぶ環境を整備していくため、今後もその機会はますます広がっていくでしょう。
こうした流れの中、図書館もまたグローバル化対応が求められています。
これまで当館では、海外資料の充実や、デジタル技術を活用した世界中の情報へのアクセスが中心でした。今後更に、図書館における多文化サービスの提供、語学学習支援、情報提供の多言語化、異文化理解促進、利用しやすい環境整備(多言語案内、セキュリティ)等を充実させていく過程において、当館ではまずその第一歩として、情報提供の多言語化のための「3言語併記の留学生向け図書館案内」を作成し、今年度より配布を開始しました。
今回は、今後のサービス向上のため、留学生へのインタビューを実施。その内容を一部ご紹介します。
■インタビュー■
日時:2025年12月12日(金)12:40~13:10(30分)
場所:渋谷キャンパス120周年記念棟 1階グローバルラウンジ
参加者:留学生2名、図書館学生スタッフ「ららすた」1名、図書館スタッフ3名
1.インタビューにあたって
今回のインタビューに協力いただいたのは、カンボジア出身のAさんとベトナム出身のBさんのお二人です。お二人とも本好きで、本国でも書店や図書館をよくお使いになっていたとのことです。
インタビューは、図書館側から日本語・英語併記の質問内容のレジュメを用意して、事前に準備した一般的な質問を中心に進行しながらも、途中からは図書館利用や希望することなど回答に応じて質問を変更・深掘りする形式も併用しました。また、図書館学生スタッフ「ららすた」のCさんにもご協力いただきました。Cさんは昨年度、本学の国際交流開館において、学生が留学生の学生生活のサポートを行うユニットリーダーを務めており、学生視点の質問をお願いしました。
2.留学のきっかけは「日本文化」
お二人に日本留学を決めた理由を尋ねると、共通していたのは「日本のアニメやマンガ」とのことでした。
子どもの頃から『ドラえもん』『名探偵コナン』『ワンピース』、漫画家の小野寺こころ先生の作品などに親しみ、高校生の頃に「これが日本の作品だ」と知って、日本への興味が一気に高まったそうです。
大学では日本語学科に進学し、教科書を使った日本語の会話の勉強だけでは物足らなく、実際の生活を通して「もっと日本語や日本文化を深く学びたい」という思いから留学を決意。「日本語訳のハリーポッターを読めるようになりたい」という夢も語ってくれました。
3.日本での生活、本国との違い
続いて、日本と本国での生活の違いをお尋ねしました。二人は、本国ではお一人は自宅から大学に通学し、もう一人は3人で下宿をルームシェアされていました。
生活面で一番異なるのは「食文化」とのことでした。大学の食堂の味付けは本国とは大きく異なり、一方で日本のスーパーは食材がパックされていて、自炊がしやすいとのことです。
通学は、お二人とも本国ではバイクが主流でしたが、日本では電車。本国はバイクで道路が大渋滞するのに対し、日本は人・人・人。日野キャンパス近くのお住まいから中央線を利用して渋谷キャンパスまで通うのは「新鮮だけど、少し疲れる」という率直な声もありました。
4.図書館の印象 — 驚きと安心
お二人とも本国では、図書館を授業の予習・復習、余暇的に活用されていました。ただ語学センター内にある図書館の規模が大きくなく、あまり日本語の図書が揃っていなかったとお話しをされていました。
質疑応答1:本国の図書館利用は?
・入館時にお金を徴収される。また、本を返すのを忘れると延滞料も発生する。
・入館前に鞄や荷物をロッカーに預ける必要がある。
・学生証も預ける必要がある。
分かってきたのが、本国の図書館は、入館料や荷物預けが必要で、利用のハードルが高めであること。一方、IC学生証を利用する本学図書館の入館方法はとても簡便で、鞄を持って入れることに驚いたとのことでした。
質疑応答2:本国の図書館での本の借用や相談について
・借りる方法が難解。日本以上に難しい。
・(本国の)図書館スタッフはいつも忙しそうで、声を掛けるのも遠慮してしまう。
本学図書館は、「IC学生証で簡単に入館でき、鞄も持ち込みOK」「自動貸出機も使いやすく、スタッフが親切」と、安心感を持って利用できているようです。
5. 留学生向けサービスの評価について
質疑応答3:留学生向けの資料(例えば『レベル別日本語多読ライブラリー』)があることを知っていますか?
・知っている。レベル別の多読を毎週借りて使っている。
渋谷キャンパス図書館の書棚から
質疑応答4:3言語併記の図書館利用案内の内容について
・情報量がちょうどよく、分かりやすい。
・案内されている世界中の新聞が読める「PressReader」は本国でも大学が導入していた。日本ではまだ使っていない。
今年度配付開始した「3言語併記の図書館利用案内」
6. 図書館質問:図書館に希望したいこと
図書館に望むことはありますか?
・配架場所を覚えている最中なので、その場所が変更になったら困る。
・留学生向け資料の専用コーナーがあると便利。
7. 今後への期待
インタビューはあっという間に予定していた30分を過ぎてしまいました。
全体的に、本学図書館利用でハードルの高さは、感じることがないことが分かりました。
お二人には、今後も継続的なインタビューをお願いして終了しました。
ご協力いただいたAさんBさんのお二人、そして学生の立場でインタビューに同席してくれた図書館学生スタッフ「ららすた」のCさんに感謝します。
図書館学生スタッフ「ららすた」Cさんからのコメント
留学生へのインタビューに参加させていただき、実践女子大学の図書館との違いや、日本との文化の違いについても知ることができました。
図書館の利用において、入館の際に料金がかかることや、荷物や学生証を預けなければならないことなど、国や学校によって使い方が大きく異なることを知り、興味深く感じました。
このような貴重な機会に参加させていただき、ありがとうございました。







