
図書館員のおすすめ本紹介
図書館員がおすすめする本を紹介します【日野】
図書館の所蔵情報も入れておきますので、ぜひ、借りて読んでみてください。
ふたりの読書会 / 向井和美著 (岩波書店)
二人のうち一人は著者の向井さん。
かつて学校図書館の司書として働いていた、日野の隣の八王子に住んでいる翻訳家。
そしてもう一人はサブタイトルにあるように無期受刑者の大矢さん(仮名)。
人を殺めた罪で刑務所に服役している男性です。
今現在図書館で働いている私にとって、とても身近に感じる向井さんが
なぜ自分の生活とは程遠い存在の大矢さんに寄り添って、
手紙を出し合い本のことを語るようになったのか…。
それは本文に入る前の「はじめに」のページに書かれています。
刑務所と言う世間と切り離された世界で、読書に目覚め読書を通して心が変化していく…そんな大矢さんから受け取った最初の手紙に感銘を受けたからでした。
心境の変化、刑務所内での生活、幼いころからの自分の人生…
包み隠さずすべてをさらけ出して向井さんに手紙で伝える大矢さん。
物理的に会う事の出来ない二人の心の距離は手紙という
言葉だけの手段でどんどん近づいていく…
その過程が読み進めるうちに共感でき、とても感動を覚えるのです。
どんな立場の人にも平等な存在の「本」。
殺人事件を犯した大矢さんにとって、その感想を書くという行為が
自分自身を見つめなおし罪を悔い改めるきっかけになったのでした。
数年前の総務省の調査で
日本人の6割は一ヶ月に一冊も本を読まないというデータが出て驚きました。
大矢さんの一ヶ月の「作業報奨金」はわずか五千円ほど。
その中から生活費の捻出や貯金をして、それでも本を買って読んでいる…。
総務省の統計と大矢さん。この落差についてもいろいろ考えさせられます。
著者の向井さんは私費を投じてかなりの量の本を大矢さんに送っています。
そのブックリストも最後に載っていますので、ぜひ「ふたりの読書会」の追体験を
してみてください。







