お宝紹介① 佐藤春夫に宛てた原民喜の遺書
「吉田精一資料」のご寄贈と佐藤春夫に宛てた原民喜の遺書
2024年度に、日本の国文学者、東京大学教授であった吉田精一氏(1908-1984)のご令嬢から、氏の大切にしていた蔵書の一部、40点程が「吉田精一資料」として当館に寄贈されました。寄贈資料は、親交のあった近代日本の詩人・小説家である佐藤春夫の直筆書簡、初版本が多数を占めていました。
その中に、極めて貴重な資料として、小説家の原民喜(はら たみき)が佐藤春夫に宛てた遺書が見つかりましたので、実践女子大学のお宝として報告いたします。
佐藤春夫宛の遺書を、吉田が所有するに至った経緯は今となっては分かりませんが、二人で共同編集した『近代日本抒情詩集』(中央公論社 1953)が関係していると思われ、同書には原民喜とその遺書についての言及もあります(p. 163-164)。
1.原民喜について
原民喜(1905-1951)は、日本の詩人、小説家。広島で被爆した体験を、詩『原爆小景』(1950年)や小説『夏の花』(1947年)等の作品に残しました。原は1951年3月13日に 鉄道自殺を図りますが、下宿先の机には親族と友人の合計17名に宛てた遺書が残されていました。その一通が佐藤春夫宛の遺書であることは分かっていましたが、所在不明となっていました。
この発見により、内容が明らかになった遺書は17通のうち10通となりました。
2.原と佐藤春夫との関係
原はあまり人付き合いが良い方ではなかったようですが、佐藤春夫は数少ない友人で、雑誌『三田文学』第23巻第1号(1949年1月)に「原民喜君を推す」という文章を残しており、原の死後の遺品の整理、告別式の斎行等、原民喜詩碑建立に尽力しました。同詩碑には、佐藤春夫宛の遺書に添えられていた詩が刻まれることになります。
3.遺書の内容について
8月から渋谷キャンパスの2階で当該資料の展示を計画しています。
現時点では、8月3日(日)の大学オープンキャンパスで、図書館(渋谷キャンパス)の2階で初披露を予定しています。
展示開始後に、本文内容も追記します。
乞うご期待!