「性の多様性」をテーマにしたイベント「Jissen Rainbow Week2025」が開催されました(12/1〜5)
「性の多様性」への理解を深めることを目的にしたイベント「Jissen Rainbow Week(実践レインボーウィーク)2025」が昨年12月1日から5日間、渋谷キャンパス1階のエントランスホールなどで開かれました。性の多様性に関し、学生の理解を深めるのが狙いで、学生が主体的に取り組んだイベントです。期間中は展示や講演会、映画上映などバラエティー豊かな企画が展開されました。
Iris Issenさんを囲んで
Iris Issenさん「あらゆる身体はクィア(Queer)である」
Iris Issenさん
今回の「Jissen Rainbow Week2025」は、広井多鶴子副学長(人間社会学部人間社会学科教授)の1・3年生のゼミ生と学生有志、教職員で構成する「Jissen Rainbow Week2025実行員会」が担いました。
一連のイベントの中で、12月2日に行われたIris Issen(アイリス・イッセン)さん(お茶の水女子大学基幹研究院助教)の講演会は、始まってすぐに満席になるほどの盛況ぶり。Irisさんは、典型的とされる性の枠組みに当てはまらない人を指すクィア(Queer)の研究を専門とし、現在は「トランスジェンダーの外国人移住者」の研究を主にしています。講演では「身体の境界を再考する:クィア研究の視点から」と題し、クィアを語る際に不可避な「身体」の概念について深く掘り下げました。
ハートの色紙には、たくさんのメッセージ
Irisさんは、聴講した学生に対し、社会的に“普通”とされている条件をいくつか提示。「皆さんはこれらの条件に当てはまっていますか?」と問いを投げかけました。「シスジェンダーである」「異性愛者である」「染色体がXXまたはXYである」などいわゆるジェンダー的なもの以外にも、「身体的、精神的にも健常である」「経済的に安定している」などの条件も並べ、学生たちはQRコードから回答ページにアクセスし、匿名で回答しました。その結果、「“普通”の条件に当てはまる」とした人はわずか27%というものでした。一般的に「クィアはマイノリティー」と思い込んでいる概念とは違う結果となり、驚きの声が上がりました。
講演終了後、学生からは「クィアの人たちが生きやすくなる社会とは?」という質問が出され、Irisさんは、「他人の生き方や人生の可能性を否定しないことが重要」と回答しました。また、学生からは「自分の身体が普通かどうか、今まで考えたことがなかったので、興味深かった」という声が多く寄せられました。
実際にLGBTQ+の人たちに接した機会が、理解を深めた
司会を務めた沢田真緒さん(人間社会学部人間社会学科3年)や杉浦咲耶さん(人間社会学部人間社会学科3年)もこの講演を聴いて、「“普通”ということを改めて考え、自分ごととして認識する機会になった」と口を揃えます。
2人とも「家族社会学」への興味から広井教授のゼミに入り、LGBTQ+について考えるようになりました。沢田さんは、ゼミを通じて、実際にLGBTQ+の当事者の方たちの考えを知り、「自分らしく生きることの大切さと難しさ」を実感。杉浦さんも「ゼミでLGBTQ+のことを知ってから、以前よりも自然に受け止められるようになりました」と話しました。
正しい知識を得ることがもっとも大切
小野春さん
また、12月4日には、子育てするLGBTとその周辺をゆるやかにつなぐNPO法人「にじいろかぞく」の共同代表理事、小野春さんのトークイベントが行われました。小野さんは、同性カップルが結婚できない現況は違憲だと主張する「結婚の自由をすべての人に」訴訟の東京原告のひとりです。 同性のパートナーとお互いの連れ子3人のステップファミリーとして生活しており、家族の入院時の面会や手続き、死亡時の対応・相続などが戸籍上の血縁がないとできないことなど、多くの困難を具体的に挙げ、学生たちに理解を求めました。
学生からは「学校ではどのような取り組みがあったら良いか」という質問があり、小野さんは「正しい知識を得ることが1番」と回答。SNSなどでは、間違った情報が多く流布していることから、図書館に関連書籍を置いてもらったり、学内外のイベントやボランティア活動に関わったりすることなどが重要だと指摘しました。そして、LGBTQ+の問題は、現在全人口の1割にも満たない当事者だけでは改善は難しく、周囲の人びとの理解と支援が重要であることも強調しました。
「多様な性」「多様な家族のかたち」への理解への動きに感動
この講演には、鹿島愛縫さん(人間社会学部人間社会学科2年)が司会の一人として参加しました。鹿島さんは、高校生の頃から多様な家族のあり方に関心を抱いてきたため、レインボーweekの開催を知り、とてもうれしかったそうです。「今回のイベントで普段接する機会のなかった他学部や他学年の人たちと一緒に活動できて楽しかった」と話していました。
学生らしいハートウォーミングな企画が盛りだくさん
レインボーウィークのポスターをデザインしたのは、神谷優奈さん(人間社会学部1年生)。現在、広告研究部に所属し、グラフィックを担当しています。約1週間かけて完成させました。
ポスターは、黒色をベースに男女7人が横に並んだピクトグラム(絵文字)が印象的なデザイン。「特に強く意識したのは、7色の配色です。通常のイメージでは男性が寒色で女性が暖色。あえて逆にして多様性を表現しました」と神谷さん。また、背景の模様として、「+」や「✕」のモチーフを使って、多様性を表現したことも工夫の一つ。「+」はLGBTQ+のプラス。「✕」には、男性でも女性でもない、あるいは、男性でも女性でもあるといった意味を込めています。神谷さんは、「何かを作る仕事に興味があるので、メディアや広告の意図についても関心を持って学んでいきたい」と意欲的に話しました。
虹のオブジェ
メイン会場となったエントランスホールでは、7色の紙の花で作った虹のオブジェが目を引き、その横には学生や教職員から集めたメッセージカードが並びました。また、来場者参加型のクイズ・スタンプラリーや多様なコーディネートを描くファッションバトル、LGBTQ+の方々への温かいメッセージを書いてもらうハート型の折り紙など、手作り感のある学生らしい企画が展開されました。これらは広井副学長のゼミの1年生27人が6グループに分かれて制作、運営を担いました。デイリーイベントとして2本の講演会のほか、オーストラリアのトランスジェンダーの中学生の生活を描いたテレビドラマ「ファースト・デイ わたしはハナ! 」も上映されました。同世代の理解を深めるべく、トライしやすいこうしたLGBTQ+関連の映画・ドラマ、コミックや絵本などを紹介するリーフレットも、広井副学長のゼミの3年生によって制作され、配られました。
広井副学長のコメント「多様な性への理解 その第一歩に」
広井多鶴子副学長
かつて、性別は男性と女性の二つしかないと信じられてきました。しかし、現在では、性を単純に二つに分けることはできず、「多様」な性が存在すると考えられています。「性同一性障害」(Gender Identity Disorder)と言われていたトランスジェンダーも、もはや「障害」ではなく、「性別不合」(Gender Incongruence)という多様な性のあり方の一つとして捉えられるようになりました。
そうした中、今、さまざまな大学や職場、自治体、団体で、多様な性について理解を深め、性による差別や偏見をなくし、人権を尊重する環境や社会を作るための取り組みが進められています。そこで、本学でも、その第一歩として「Jissen Rainbow Week(実践レインボーウィーク)2025」を開催することになりました。講演をしてくださったIris Issenさん(お茶の水女子大学)と小野春さん(NPO法人にじいろかぞく)をはじめ、学生、教職員のみなさんのおかげで、とても充実した1週間になりました。ありがとうございました。来年もぜひ開催したいと思っています。







