第26回卒業設計コンクール展(主催:埼玉建築設計監理協会)で生活環境学科(現・環境デザイン学科)の卒業生4名が入賞!埼玉県知事賞と準埼玉賞など過去最多!(4/19)
生活環境学科(現・環境デザイン学科)の卒業生4名が、埼玉建築設計監理協会主催の「第26回卒業設計コンクール」において、埼玉県知事賞、準埼玉賞、準建築設計監理協会賞、特別審査員賞を受賞しました。本学にとって、同コンクールで4名の入賞は過去最多です。
同コンクールは、埼玉県内および関東近辺の大学を対象に、学生による意欲的な卒業設計作品を募集・審査するものです。第26回では41作品が出展され、4月19日(日)にさいたま市の埼玉会館で公開審査が行われました。
本学からは、埼玉に縁のある作品が対象の部門において、大河原 桜さんの作品が、埼玉をテーマとした作品の中で最も優れた作品に贈られる「埼玉県知事賞」を受賞。渡邊 瑠衣子さんの作品が埼玉をテーマとした作品の中で優れた作品に贈られる「準埼玉賞」を受賞しました。
また、埼玉県知事賞を除く全作品が対象の部門では、小野寺 凜さんの作品が2位にあたる「準建築設計監理協会賞」を受賞。さらに、埼玉建築設計監理協会賞・準埼玉建築設計監理協会賞に次ぐ「特別審査員賞」に、半道 さくらさんの作品が選出されました。
なお、大河原さんと渡邊さんの作品は、7月3日(金)から7月28日(火)まで、さいたま市役所1階に展示される予定です。
埼玉に縁のある作品が対象の部門
< 埼玉県知事賞 >
大河原 桜さん
「ごみ資源活用エコセメント製造銀座~工場の迫力を活用した大宮南銀座再開発~」

受賞コメント
この度、埼玉県知事賞という大変名誉ある賞をいただき、心より光栄に思います。本作品では、埼玉県日高市で実践されている資源循環システムをもとに、大宮駅東口の南銀座を対象として、セメント工場と商業施設を融合した新たな都市モデルを提案しました。工場と都市を分断するのではなく、普段見えない資源循環のプロセスを都市の中に表出させ、可視化することで、工場と都市が共生する新たな再開発を提案しました。
卒業制作を通して、社会に求められる建築や都市の姿と向き合い、自分なりの提案として形にすることができました。ご指導いただいた内藤先生をはじめ、支えてくださった助手の皆様、そして研究室の皆様に心より感謝申し上げます。今後は大学院でさらに学びを深め、自分らしい設計を追求していきたいと考えています。
大河原さんの作品について(内藤将俊教授のコメント)
夜は眩く輝き、朝にはゴミが舞う大宮南銀座を舞台にした大河原案は、ゴミをセメント原料や熱源にする「AKシステム」を応用することで、「大宮区の廃棄物ゼロサイクル化」と「市の完全エコセメント化」を達成する壮大な計画となっています。
南銀の危険な香りや混沌とした空間に魅かれた作者は、丁寧に調査やヒアリングを積み重ねています。そして、セメント製造やごみ処理工程、動線等を巧みに解決した「近未来的な迫力を醸し出す工場」を生みだしました。さらには、騒音や熱、臭気に的確に対処しつつ、研究所や飲食店から成る「高層建築」と「隙間を縫う立体的な歩道」の両者を工場に纏わせることに見事に成功しています。
高密で精巧な本作が、歓楽街の魅力の源である「混沌」や「危険」等の再開発にはそぐわない要素を引用せず、「建築的計画学に依拠しない合理的な工場」という要素を用いて、生命力や迫力に満ちた街を実現した点が高く評価されての受賞となりました。
< 準埼玉賞 >
渡邊 瑠衣子さん
「大宮境界歩道建築 ~自衛隊と共生する街~」
最終プレゼンテーションの様子
(作品の詳細はこちら) [PDF:8.90MB]

受賞コメント
この度は、埼玉県卒業設計コンクールにおいて準埼玉賞を賜り、大変光栄に存じます。
これまでいくつかのコンクール等に挑戦を重ねながらも思うような結果を得られず、その悔しさを糧に「今回こそは」と強い思いで本コンクールに向き合い、1年間かけて作り上げた作品をゼロから見直しました。その成果が今回の受賞に繋がり、また切磋琢磨してきた仲間たちと共に賞をいただけたことを大変嬉しく思います。
ご指導いただいた内藤教授をはじめ生活環境学科の皆様、そして支えてくれた家族や友人に心より感謝申し上げます。
この受賞を励みに、今後も建築に真摯に向き合い、より一層研鑽を重ねてまいります。
渡邊さんの作品について(内藤将俊教授のコメント)
渡邊案は、市街地を分断する「2kmの壁」である大宮駐屯地外周に、地域活性化や自衛隊と市民の融合を誘発するプログラムを幾重にも提案しています。まず、両者が日常的に楽しめる、「蛇行する遊歩道」と「直線的な快走道」を計画しています。そして、それらの立体的交差部に「自衛隊活動展示空間」を計画し、さらには、道中の要所に市街地側と駐屯地内の既存施設を繋ぐ「結びの場」を配置しました。また、駐屯地内の古い建築や周囲の既存バス停を魅力的な空間へと再生することで、市民や自衛隊員の日常的な交流を創出しています。
センシティブに捉えられがちな題材に積極的に挑み、結果的に極めて高い社会性と創造性が両立した美しい街を生み出すことに成功した案となっています。
埼玉県知事賞を除く全作品が対象の部門
< 準建築設計監理協会賞 >
小野寺 凜さん
「川越的高層建築構成法 ~屋根・街路・中庭で培われた歴史性と柱梁で育まれる先進性が融合する街~」

受賞コメント
この度は、第26回埼玉県卒業設計コンクールにて賞をいただくことができ、大変光栄に思います。
作品の制作過程では、川越の伝建地区を時間をかけて様々な視点から調査しました。朝5時から調査を始めた日もあり、大変なこともありましたが、振り返ると貴重な経験だったと感じています。
卒業制作を通して、一つの場所と向き合い続けることで見えてくる発見の面白さや、自分なりの答えを導き出す楽しさを学びました。試行錯誤の連続でしたが、その過程を経て建築への興味がさらに深まりました。この経験を大切にしながら、今後も建築と真摯に向き合っていきたいと思います。
小野寺さんの作品について(内藤将俊教授のコメント)
小野寺案は、川越市伝統的建造物群保存地区の道路向かいに建つ、即物的な高層建築に違和感を覚えたことからスタートしています。そして、必死に守られてきた歴史的空間を象徴する勾配屋根や街路等の「歴史の5要素」で構成した「和風低層建築」を無数に積層させ、「立体的な屋根上の動線」等で繋ぐことで「川越的高層建築」を生み出しています。特筆すべきは、高層化に不可欠な柱や梁に囲まれた空間が、浮遊する「和風低層建築」の床裏に生命体のように広がり、シェアオフィスや都市公園等の現代空間を受け入れていることです。
歴史を守ることだけに固執してしまいそうなテーマに対して、歴史性と現代性が表裏一体となった多様な生活を軽やかに示した作品となっています。
< 特別審査員賞 >
半道 さくらさん
「猫人間 ~利用者の能力を拡張する技術を活用した都市の再生法 最小限の改修で最大限の効果を生み出す新たな街づくりの提案~」

受賞コメント
この度は、埼玉卒業設計コンクールにおいて特別審査員賞を頂き、大変光栄に思っております。
本作品は、建築が人間に適応するのではなく、発展する技術によって人間の能力そのものを拡張し、その変化に応じて建築や都市の在り方を更新していく未来を提案した卒業制作です。従来の建築設計とは異なる視点から挑戦したテーマであり、多くの試行錯誤を重ねながら形にしていきました。
今回の受賞はご指導くださった内藤先生や研究室の仲間たちの支えがあってこその結果だと感じています。また、本コンクールでは研究室から私を含め4名が受賞することができ、日々互いに刺激を受けながら切磋琢磨してきた環境の大切さを改めて実感しました。
この経験に感謝するとともに、今後も大学院での学びと研究を深め、より良い建築の在り方を探究していきたいと思います。
半道さんの作品について(内藤将俊教授のコメント)
半道案は、街の隠れた可能性を顕在化する「装着する2種のプロダクト」の開発を前提とした、類例のない都市再生法です。白夜と極夜での行動変化に着目し、外国人が多く住む団地内で「眼鏡型暗視カメラ」を活用しています。そして、敷地内に‘軽微な建築’を散りばめて、日本人高齢者と外国人との交流を誘発しました。さらに、音楽を聴きながら活動する現代生活に着目し、様々な店舗が混在する商店街で「対象音厳選イヤホン」を活用することで、「音楽」「福祉」等の8種の専門店街が重なる「融合する街」を生み出しています。
2m四方の二つの大きな模型を、表裏両面に描かれた巨大な絵画のように立ち上げたプレゼンテーションとあわせて、極めて独創性が高い計画なっています。
『競わず、楽しむ』教育が生んだ前例のない快挙
環境デザイン学科 内藤 将俊 教授(建築デザイン研究室)
各大学で厳選された優秀な作品が集結した「第26回卒業設計コンクール」において、建築デザイン研究室の4名が上位の殆どの賞を獲得するといった、前例が無いほどの素晴らしい成績を収めてくれました。
全作品が並ぶ展示室内を回った各審査員が、口頭発表の機会を与える上位2名を無記名投票で選出し、発表後の決戦投票を経て最終順位を決定する方式で進められました。まず、「埼玉に縁がある作品を対象とした部門」の一次審査において、1位を大河原桜さんが、2位を同点の渡邊瑠衣子さんと小野寺凜さんが分け合うこととなりました。3名が選出され、さらには、同じ研究室のメンバーが皆さんの前に立ち並んだ瞬間、言葉では言い表せないような雰囲気となりました。
最終プレゼンテーション後の審査を経て、大河原さんが最優秀賞に相当する「埼玉県知事賞」を、渡邊さんが2位に相当する「準埼玉賞」を受賞してくれました。その後、「埼玉県知事賞を除く全作品を対象とした部門」において、2位に相当する「準建築設計監理協会賞」を小野寺さんが獲得し、それらの賞に次ぐ「特別審査員賞」に半道さくらさんが選出されました。
授賞式後に開催された懇親会において、各大学の多くの出展者に囲まれ、研究室の教育方針や作業環境について何度も質問を頂戴いたしました。「決して競い合わず、みんなで楽しむこと」「徹夜は禁止」「後輩に手伝いを求めずに自力でやり遂げること」といった、今までの建築教育からは逸脱した取り組み方針を伝えた際の不思議そうな表情が、今でも強く心に残っています。
翌日、最優秀賞と準賞を獲得した3名は、私が同行する必要が全くなかったほどに堂々と「知事プレゼンテーション」をもやり遂げてくれました。
今回の受賞者全員が本研究室の大学院に進学し、相変わらず皆で騒々しく建築に取り組んでいます。つい先日行った「群馬県・現建築視察旅行」にも多くの3年ゼミ生を誘い出し、自然な形で、楽しみながら建築への接し方を伝えるなど、研究室を大きく発展させ続けてくれている彼女たちには感謝してもしきれない思いです。
このような「自由な教育」を支えてくださっている学科の先生方、そして、伝統を積み上げてきてくれた卒業生たち、何より彼女たちを本学科へ送り出し、巡り合わせてくださった保護者の皆様にこの場をお借りして心から感謝を申し上げます。










