【日本製紙グループとの取り組みがNHKで放送されました】現代生活学科 地域・生活文化ゼミ(須賀ゼミ)が、「オクトーバーフェスト」を開催しました(10/12)
※2024年11月13日追記
2024年11月8日 NHK首都圏ネットワーク「おでかけしゅと犬くん」で放送されました。
※画像をクリックすると「NHK首都圏ナビ」に遷移します。
「11月8日(金)SDGsな産業だわん」に放送記事が掲載。
現代生活学科 須賀由紀子教授のゼミ生と日本製紙グループ 日本紙通商(株)との取り組みが、NHK首都圏ネットワーク「おでかけしゅと犬くん」で紹介されました。
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2024年11月7日掲載
生活科学部現代生活学科の地域・生活文化ゼミ(以下、須賀ゼミ)が主体となり、日野市のコミュニティーセンター「カワセミハウス」で10月12日(土)、「オクトーバーフェスト」を開催しました。昨年度に引き続き日本製紙グループにご協力いただき、今年度は紙コップ回収に加え、紙コップのアップサイクル製品を紹介し、その中の一つであるハンカチを使ったワークショップも実施。また、須賀ゼミと親交の深い布川(新潟県十日町市松之山布川地区)の野菜や新米を販売する「布川ファーマーズマーケット」や、布川地区の方々と直接対話できるトークライブも展開しました。当日は天候にも恵まれ、多くの来場者で賑わいました。
「オクトーバーフェスト」とは
オクトーバーフェストは、ドイツ発祥のビールのお祭りです。日野市のカワセミハウスで行うオクトーバーフェストは、日野発祥のクラフトビール「TOYODA BEER」を楽しみながら地域をつなぐお祭りとして須賀ゼミの学生が発案し、2017年から実施してきました。須賀ゼミが2015年から交流を図っている布川の野菜や新米を販売する「布川ファーマーズマーケット」もオクトーバーフェストの中で毎年実施しており、昨年度からは日本製紙グループとの企業連携の一環として、紙コップリサイクルも実践。「自然を未来につなぐ」(環境)、「地域への愛着が湧く」(コミュニティ)をテーマに、持続可能な社会への貢献を目指し、さまざまなコンテンツを展開しました。
紙コップを「資源」に! アップサイクル製品を使ったワークショップも開催
日本製紙グループのご協力の下、昨年度のオクトーバーフェストでは紙コップリサイクルに初めて取り組みました。使用済みの紙コップはほとんどが燃えるゴミとして処分されていますが、日本製紙グループではこれまで再資源化が難しいとされてきた紙コップなど食品・飲料用紙容器の再資源化を推進しています。そこで須賀ゼミが考えたのが、TOYODA BEERの樽生販売をプラスチックカップから紙コップにし、使用済みの紙コップを洗浄して回収すること。紙コップを身近な暮らしのリサイクルとして体験してもらい、「紙コップも資源になる」ということを広く知ってもらうべく、約200個(4.5kg)の紙コップをリサイクルしました。
そして、今年度はその取り組みをさらに拡大。単に紙コップを回収・洗浄するにとどまらず、回収した紙コップを資源にしたアップサイクル製品をパネル展示等で紹介。その中の一つであるハンカチを使い、布用絵の具やステンシルシートでペイントするワークショップを実施しました。参加した子どもたちは、ハンカチの材料に使用済み紙コップを原料の一部とした紙糸が使われていることに驚きながら、世界に一つだけのオリジナルハンカチ作りを楽しみました。
今回の会場である日野市のカワセミハウスは、環境情報センターの機能を持つ施設です。だからこそ、この場所で温室効果ガス(GHG)排出量の削減につながる紙コップリサイクルの取り組みを実施するのは大変意義深いことであり、カワセミハウスの小林正明館長からは「施設のテーマである『環境』と『コミュニティ』をうまくつなぐ企画を考えてくれてとてもありがたい」と感謝の言葉をいただきました。
なお、今回の日本製紙グループとの連携企画で学生側のリーダーを務めた現代生活学科4年の佐藤亜海さんは、この一連の紙コップリサイクルの取り組みをあらためて日野市にも提案。実践女子大学として日野市最大の産業イベント「産業まつり」に参加する道を開いています。
布川ファーマーズマーケットやトークライブも展開。「日野産の竹皮×布川のお米」のおにぎりの販売も!
オクトーバーフェストでは、毎年季節ごとに実施している「布川ファーマーズマーケット」も開催しました。布川地区で採れた旬の野菜や新米を前に多くの来場者が列を作り、須賀ゼミ生と布川の方で協働して作った天日干しのこだわりのお米「まつむすめ」も完売。布川のお米(山里布川米)と多摩産野菜で作ったおにぎりを、里山保全から生まれた日野産の竹皮で包んだ「日野産竹皮のおにぎり」も大好評で、朝早くからおにぎり作りに参加した学生も手応えを感じていた様子でした。
また、松之山自治振興会理事の小野塚建治氏をはじめ、布川地区で農家を営む皆さんをゲストに招いたトークライブも行われました。須賀ゼミ生の司会進行のもと、ゲストの皆さんが布川の魅力を紹介。心温まるトークに、会場はアットホームな雰囲気に包まれました。
さらに、地域の魅力やさまざまな生活文化に触れることで、「暮らし」が楽しくなる機会を創出している須賀ゼミの「くらし工房」の主催で、キャンドルデコレーションや段ボールお絵描き(段ボールは日本製紙グループが提供)、かるた遊びのブースも展開。午後には須賀ゼミ生によるまちあるきも行われ、その様子はカワセミハウス内のモニターに生配信されました。
そのほかにも、「カワセミハウス」を拠点にした地域の団体による模擬店や展示もあり、大いににぎわいを見せたオクトーバーフェスト。JR豊田駅改札口でのイベント紹介やポスター掲示など、JR東日本豊田統括センターにもカワセミハウスへのアクセスにご協力いただき、地域のたくさんの思いがつながるお祭りは、今年も大盛況のうちに幕を下ろしました。
日本製紙グループ 日本紙通商(株) 常務取締役 石田瑞穂氏、貿易部主任 露木悠氏のコメント
昨年度、実践女子大学との初めての連携企画としてオクトーバーフェストで紙コップリサイクルを実施させていただきました。そのきっかけは、須賀ゼミの地域自立型社会の課題への取り組みやオクトーバーフェストの主旨に共感したこと。グループ全体で積極的な古紙の有効活用による循環型社会の構築を目指す我々とは共通点が多く、ぜひ協働したいと手を挙げた次第です。
紙コップリサイクルにおいては、「使用済みの紙コップが“ごみ”なのかリサイクルできる“資源”なのかは自治体の判断に委ねられる」という問題があります。紙コップをリサイクルできれば確実に温室効果ガス(GHG)排出量を削減できますが、“資源”として回収するには行政の協力が不可欠です。また、リサイクルした製品を消費者の皆さんにご購入いただく際には、リサイクルにかかるコストが価格に含まれていることをご理解いただく必要がありますし、アップサイクル製品を作る企業としては製品の付加価値を高める努力も欠かせません。これらの条件がすべて整わないと資源循環が成り立たないのが、この取り組みの難しいところです。
このような背景を踏まえた上で、今年度は紙コップの回収から一歩踏み込み、アップサイクル製品の一つであるハンカチを使ったワークショップを実施。環境問題に対する意識の高い学生の皆さんのご尽力のおかげで、日野市の産業まつりでも展開できる運びとなりました。紙コップ回収システムの構築をめざす我々にとって、日野市という自治体のイベントに参加できるのは大変ありがたく、“資源循環の輪”の中に加わってくださった実践女子大学の学生の皆さんには心から感謝しております。
学生の皆さんは、我々にはない視点を持っています。それが今回の取り組みにもつながっていますが、今後はより魅力的なアップサイクル製品のアイデアなどもご提案いただきたく、さらなる連携強化を図っていければ幸いです。
生活科学部現代生活学科4年 佐藤亜海さんのコメント
須賀先生のご紹介がきっかけで、昨年度のオクトーバーフェストから日本製紙グループとの連携企画を実施しています。最初は須賀先生も交えてミーティングを行っていましたが、途中からは私たち学生と日本製紙グループ、日野市の方々で企画を詰めていきました。
今年度は“リサイクル”という行為に対する意識をより高めてもらえるよう、来場者の皆さん自身に紙コップをすすいでいただいて回収することにしました。また、使用済みの紙コップが資源になるということを知ってもらうために、紙コップを原料の一部に使用したハンカチをペイントするワークショップを企画。須賀ゼミの「くらし工房」の活動経験を生かせるコンテンツを提案しました。
また、より多くの方々に日本製紙グループ×実践女子大学の取り組みを知ってもらうべく日野市に働きかけた結果、産業まつりにも参加させていただけることとなり、とてもありがたく思っています。
私はもともと積極的なタイプではありませんでしたが、須賀ゼミでの活動の中でさまざまな企業や行政の方々とかかわるうちに積極性が身につきました。また、今回のオクトーバーフェストでのリーダーのように複数の人をまとめる経験をしたことで、何事も一人で抱えるのではなく、周りを巻き込んで進めることが重要だと気付かされました。
現代生活学科は、「環境」「メディア」「自立」という3つの領域を横断的に学ぶ学科ですが、今回の取り組みは「環境」に配慮したものであるのはもちろんのこと、その意義を市民の方に伝え(「メディア」)、循環型社会の構築(「自立」)につなげるものであり、現代生活学科の3つの領域をすべて網羅するものとなりました。来年度も、後輩の皆さんがこの取り組みを引き継ぎいでくれたらうれしいです。
生活科学部 須賀由紀子教授のコメント
オクトーバーフェストの会場であるカワセミハウスは環境情報センターの役割も担う施設であり、日本製紙グループの企業理念と親和性が高いことから、「日本製紙グループの紙コップ回収の取り組みを、オクトーバーフェストにうまく取り入れられるのではないか」と思い付いたのがすべての始まりでした。
発端は私の提案でしたが、実際の企画や運営についてはすべて学生自身が行いました。今年度はアップサイクル製品のハンカチを使ったワークショップを実施したほか、学生自ら日野市に提案を行い、日野市産業まつりでも同様の企画を実施する運びとなりました。リーダーとして動いてくれた佐藤さんは、この一連の企画の価値をしっかりと理解し、それをいかに伝えるのが効果的か熟考して臨んでいたのが印象的でした。現代生活学科で「環境」についても学び、その重要性を自分の問題として捉えているからこそ、自らそれを発信していかなければならないという意識を持っていたのだと思います。日本製紙グループ、日野市の双方に対するやり取りも非常に丁寧で、一歩一歩着実に物事を進める姿に頼もしさを感じました。
今後も学生の主体的な取り組みにより、企業連携が活性化されることを期待しています。