ハッピーセット・レボリューション
大学一年の夏、初めてマクドナルドでハッピーセットを注文した。
チーズバーガー、Sサイズのポテト、Sサイズのコカ・コーラ。クーポンを使えばワンコインでハッピーセットが手に入る。特大お手頃価格。小さな子にとってのハッピーはきっと、ハッピーセットの小さなオモチャの部分だろう。しかし、上京したての金欠大学生にとってのハッピーは、カロリーの高いものを安い値段で食べられることと、「初のハッピーセット」という部分にあった。
私自身もその日まではハッピーセットのハッピーの部分は、付随する小さなオモチャの部分にあると思っていた。しかしながら、モバイルオーダーのオモチャ選択枠にはなんと「オモチャなし」という選択肢が存在しているのだ。その事実には随分と驚かされたし、ハッピーの部分を削ることができてしまうのなら、それはただのセットだろと思った。
18年も生きておいて初のハッピーセットが「オモチャなし」というのは味気ない気もしたけれど、知らないキャラクターのちいさなフィギュアを手にしたところで、使い道は皆無。地球環境的にもよくないかと謎の自制心が働き、オモチャなしを選択した。そして手元にはハッピーなしのハッピーセットが到着した。ハッピーの部分がなくても、ハッピーセットには幸福が詰まっている。
18年間ハッピーセットを食べたことがなかったと前述したが、マクドナルド自体18年間ほとんど行ったことがなかった。それには二つの理由があり、一つは、胃腸がとてつもなく弱かった小学生のころにてりやきバーガーを食べておなかを壊してしまったことで、二つは家から徒歩五分の場所にモスバーガーがあったことだ。(後者が理由としては九割を占めている気がする)
そんな私であったが、初めてハッピーセットを食べた日から安く高いカロリーを得られるマクドナルドによく通うようになった。大学四年生になってからは、ゼミ終わりに毎週友人とマクドナルドに通っている。18年間マクドナルドをほとんど食べたことがなかった反動が、21歳にもなって出ている。
最近はハッピーセットを頼むことは少なく、毎回代り映えなく、ダブチにコーラである。かなり健康に悪い。それでも他のチェーン店よりは安価でおいしいものを食べることができるので、やめられない。マクドナルド中毒である。まあ私には、マクドナルドにほとんど行っていない18年間があるため、18歳から21歳の3年間で、「人生でマクドナルドに行ったことのある回数」が世界標準になるように調整している、と考えている。まあでもやっぱり健康には悪い。
心理的な健康と身体的な健康のための行動は一致しないのが人生だと言い聞かせながら今も、人差し指についたポテトの塩をぺろりとなめている。
ペンネーム はる







