古典籍(江戸時代以前の書物)
慶応4年(明治元年、1868)以前に制作された書籍を古典籍と呼びます。
実践女子大学には、このような古典籍はもちろんのこと、その一部である断簡、主に美術鑑賞のために近代以前に数行ごとに断裁された古筆切も含め、非常に多くの資料が蔵されています。その中には、国文学を研究するためという意義のみならず、文化財・美術品としても極めて貴重な資料も含まれています。
国文学科では、図書館や文芸資料研究所、国文学科研究室に所蔵される古典籍・古筆切を用いて、その書物としての成り立ちや文化史的な意義を考察すること(書誌学)、その本文の記述方法や内容の変遷をとらえること(文献学)といった、国文学研究の中でも最も確かな方法を学ぶことができます。
実践女子大学図書館の特殊コレクション、文芸資料研究所の所蔵資料とそのプロジェクトをご紹介します。
○黒川文庫:実践女子大学日野キャンパス図書館蔵
江戸時代後期の国学者・考証学者であった黒川春村を父・祖父とする黒川真頼・真道の黒川家三代が蒐集した蔵書群のうち、「物語・随筆」にあたる部分が実践女子大学図書館に蔵されています。中世から近世に移行する時期に相次いで刊行された古活字版として『源氏物語』『狭衣』『徒然草』を含む他、『伊勢物語』『源氏物語』『徒然草』等の注釈書や中世後期以後に数多く制作・刊行された物語草子も蔵されています。特に貴重であるのが、黒川家の人々によって記載された書き入れ(識語)です。この情報によって、現代では失われてしまった書物の存在が明らかになるなど、国文学研究史上、極めて重要な特殊コレクションです。
○常磐松文庫:実践女子大学日野キャンパス図書館蔵
○山岸徳平文庫:実践女子大学日野キャンパス図書館蔵
○実践女子大学文芸資料研究所:渋谷キャンパス4階
国文学科での学びと非常に近しい位置にあるのが文芸資料研究所です。
学科の専任教員だけではなく、学生の皆さんの中にも研究所の活動に関与している人もいます。非常に多くの古典籍・古筆切を所蔵する研究機関として、書物に関連する様々な研究会・イベントを企画しているだけではなく、実践女子大学として取り組んだ研究ブランディング事業「源氏物語研究の学際的・国際的拠点形成」(2018-20年度)にも深く参画しました。国文学科に在籍する皆さんも、文芸資料研究所の活動にぜひ注目してください。