鹿島 千穂 専任講師 「プレゼンテーション入門」
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「プレゼンテーション入門の概要」
「プレゼンテーション入門」は短期大学部日本語コミュニケーション学科の選択科目です。日本語コミュニケーション学科では、1年次前期に「ビジネストーク演習」という授業が必修になっていて全員が履修しますが、この授業で学んだ「話す力」をさらに伸ばしたい、学びを深めたいと考えるモチベーションの高い学生が多く履修します。プレゼンテーションに関する知識や理論を学び、与えられたテーマで実践を繰り返すことで、学んだ知識を自分のものにしていきます。
インプットとアウトプットの繰り返しで成長を実感
本授業の特徴は「プレゼンテーションの実践」として行う発表の頻度が高いことです。学生はトータルで3回の発表を行います。プレゼンテーションの準備にはかなりの時間が必要ですし、人前で発表するのは精神的にもプレッシャーがかかるものなので、まずは「自己PR」といった易しい内容から始めて徐々に難易度を上げていきます。同時に、聴衆分析、アイデアの出し方、情報収集、レジュメやパワーポイントの作成方法、発表の聞き方といったプレゼンテーションに必要な内容を少しずつ盛り込み、段階的に進めるようにしています。「知識や理論に関する学び〈インプット〉→プレゼンテーションの実践〈アウトプット〉→教員からのフィードバック〈振り返り〉」を繰り返すことで、螺旋階段をのぼるように成長できるよう工夫しています。
実務家教員としての教育・指導
私は実践女子大学短期大学部に入職する前、テレビ局のアナウンサーやラジオ番組のパーソナリティーとして、15年ほど「話すこと」「伝えること」を生業としてきました。テレビの情報番組でパネルを使って説明することやラジオ番組でおすすめの映画を紹介することなどは、全てプレゼンテーションの一種です。このような放送現場での経験を活かして、「話すこと」「伝えること」を教えていますが、指導だけでなくできるだけ学生の手本になれるよう意識しています。「まなぶ」と「まねぶ」の語源は一緒であるという説があります。伝わるプレゼンテーションのためには、話すスピード、声の大きさ、間、アイコンタクト等の非言語コミュニケーションを駆使することが必要ですが、私の「話し方」「伝え方」でよいと思う点があれば、学生にはどんどんまねてもらいたいと思っています。
ベスト・ティーチング賞を受賞して
2020年度はコロナ禍で始まった年度でした。前期はほとんどがメディア授業となり、教室で学生と対面で授業をすることは叶いませんでした。後期に一部の授業が対面で実施できることになり、「プレゼンテーション入門」もその中に入れていただけたことが今回の受賞へ繋がったと感じています。最初にお伝えしたように、この授業はもともと向上心のある学生が履修する傾向があるのですが、それに加え、ようやく対面で授業ができるという喜びで教室が熱気にあふれていました。もちろんZoom授業での発表にも多くの学びがあります。しかし、人前に立つ緊張感や目の前で発表を聞いてくれる仲間の存在、教室という学びの空間に身を置いて発表することは、学生にとってかけがえのない経験であったと思います。学期の最後に、「学びの振り返りと今後の課題」をテーマにコメントシートを提出してもらいました。その中で印象的だった学生の声を紹介します。
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はじめに、コロナ禍の中、対面で授業を最後まで受けることができ、改めて空間の共有の大切さを学んだ。同じ場で授業の空気感を味わい、影響し合える楽しさや面白さはオンライン・オンデマンド授業とは桁違いで、得られるものも大きかった。一人ひとりの存在感を感じ、目で捉えながらの受講はやはり、高いモチベーションを保つための要因であると考える。その点から“プレゼンテーション”という、空間を共有し、一人に聴衆が注目、内容に傾聴する機会は、後期の多くのオンライン授業の中で貴重なモチベーション維持に繋がる授業・発表であった。
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この授業を通して、対面で授業ができる有難さを実感するともに、大学での学びとはどうあるべきか考えさせられました。特殊な環境の下、特別な思いで行った授業にこのような賞をいただき、感慨深いです。今後はこの賞に恥じぬよう授業内容をブラッシュアップしていく所存です。