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久保田佳枝准教授「 比較文化論a 」

「 比較文化論a 」

多様な文化の共生・共存を目指す現代社会を理解しながら、多様な物の見方や考え方を養うことを目的としたクラス。
日本や日本以外の様々な国における文化を理論と実際のケーススタディから学び、その違いを比較しながら、世界の中での日本を見ていく。

国際社会で生き抜くための実践的なコミュニケーション力を養う

「楽しく学ぶ」ために、新しいツールを積極的に活用

取材をしたのは、コロナウイルス感染拡大防止のために、まだまだ多くの授業がオンラインで行われている夏の日のこと。オンラインの授業では多大なご苦労があり、対面でないと手応えがなかなか感じられなくもどかしく思われているのでは、と尋ねると、
「今は学校指定のZOOMを使っていますが、様々なZOOMの機能を活用して参加型の授業になるよう心がけてやっています」
とにこやかな久保田先生。
正直、未曾有の状況下慣れないツールを用いての授業で「設定や進め方で四苦八苦しているのでは」と想像していたのだが、それを覆すどころか、ツールの機能をフル活用した先端的な授業をされていた。
「ZOOMは『いいね』とか『手を振る』などのリアクション機能や投票機能など様々な機能を活用できるので、とても便利です。学生の理解度もある程度把握できますし、また、オンラインの方が集中して授業に参加する環境になっているかもしれません。学生は新しい手法に興味を持って飛びついてくれますし、ワクワクしてくれる。それが学びの最初のステップとすれば、とても良いことだと思います」
と俄然前向きだ。

「プラス『レスポン』を使えば、様々なことができます」
「レスポン(respon)」とは、アクティブラーニング形式の授業を容易に実現できる多人数型オンラインアンケートアプリで、ここ実践女子学園ではコロナ禍前から取り入れている先生は多い。オンラインになって変わったことといえば、教室前方の大きなスクリーンに表示されていた画面が各自のPCになったことくらいだろう。
例えば、ある資料を見せてそれに対する質問を投げかけると、学生はアプリを入れたPCやスマホを使って各自意見を書く。それがタイムリーに1番から並んで画面に表示されていくのだが、1番に回答した人にはキャラクターの絵がポンと出るらしく、授業が盛り上がるそうだ。少しテレビのクイズ番組のようだ。
ただし、公開画面には名前が出ない(ダウンロードして初めて先生も誰の発言だったかわかる)。発言する人がわかる対面授業の時よりも、匿名性のあるレスポンの方が学生も発言しやすいようだ。

「発言だけだと限定的に拾うことしかできないし、人前の発言が苦手な学生に不利なので不公平になってしまいます。そこを補完する目的でレスポンを採用し始めました」
というのも、日々の授業での発言はすべて先生の方で記録され、ポイント加算されているのだそう。
「発言しないとポイントがもらえない、おそろしい授業なんですよぉ」
といたずらっ子のように笑う先生。
期末試験がない代わりに、アメリカのように日々の授業での態度や予習の遂行度などがポイント加算され、評価が決まる。
「1、2年合同授業なので、学年に関係なく発言させます。自分の意思表示がきちんとできないと、国際社会ではやっていけないですから。そういう意味でレスポンはすごく役立っていて、どんな言葉でもいいから反応してもらうように促します」
最初は意見を言うのに消極的な学生も多かったが、先生が一生懸命語りかけ続けると、どんどん発言が増えたそうだ。

レスポンの活用でもわかるように、先生の授業はただ単に理論や持論を話して聞かせる一方通行のコミュニケーションではなく、学生と双方向のコミュニケーションの中で、学生自身が自分の頭で考え、納得して理解を深めていくというスタイルである。
対面での授業でも、日本の学生は表情に出やすいので参加度や理解度はすぐわかってしまうそうだ。
「授業に集中できてない学生は、私と目が合わないようにしたりするんですよ。そんな時わざと『今目をそらしたでしょう?』なんていじわる言ってみたりするんですよ」
とまたいたずらっ子のように笑う先生。なんだか「頼もしい快活なお姉さん」のような先生である。

取材当時はちょうど前期の採点をしているところだそうで、すべての学生のレスポンでの回答をダウンロードしてまとめているところだった。
ひとりひとりの発言を辿れば、その学生の成長もみえるだろう。日々の授業の学生のアクションが記録される、ということのメリットはレスポンならではかもしれない。

「初め100人くらいのクラスを持ったのですが、なかなか授業に集中してもらえない学生にどうしたら興味を持ってもらえるかと思案しました。レスポンの活用を知って、楽しみながら勉強できるクラスにしたいと、もう一度自分のカリキュラムを見直し再構築しました」
「楽しみながら勉強」というコンセプトは、先生の授業に一貫して見られる。
「日本社会の詰め込み教育ではない切り口で学べる環境、つまり学生が自然と『もっと知りたい』と思えるクラスにしたいです。『知りたい』と思うことで、授業の出席や予習もきちんとできるようになる。興味さえ持てれば、誰でも伸びると思います。そして『学ぶことが楽しい』という感覚が他の授業にも好影響を与えられたら良いと思います」

具体的なケーススタディから、実践的知識を得る

現在「 比較文化論a 」は、前半は理論、後半はケーススタディを中心に進められている。
対面で授業が行われていた昨年は映画なども教材として使っていたが、オンラインでは使用できる教材が限られるため、今期はオンライン用にあらためて教材、手法を変えてケーススタディを中心に再構成した授業を行っているとのこと。
毎回テーマを設け、学生はそのテーマのケース資料(A4プリント)を事前に読み込んで授業に挑む。テーマも学生が知りたいものをアンケートで聞いて、決めることもあるそうだ。
最近は韓国スター好きな学生も多いため、韓国の家庭に滞在する話も取り上げた。BTSの写真などを資料に付けたりして、学生の興味を喚起する工夫も忘れない。

例えば目をひくテーマの「気づいたら麻薬」は、家族旅行中に知人の外国人ケリーさんに利用されて、身に覚えがないうちに「麻薬の運び屋」となってしまい、逮捕・起訴され、結局懲役刑を受けてしまったある日本人家族の「実話」が題材となっている。
「このような不幸な事態に陥らないためには、どうすればよかったと思う?」
「彼らの2つの失敗は何?」
という先生の問いかけに学生たちが意見を投稿するが、中には何が失敗だったのかわからない学生もいる。
空港で行方不明になった家族の荷物が、違うスーツケースに入って見つかった。知人のケリーさんは「鞄が切り裂かれていたのでスーツケースに入れ替えた」と言う。中身をケリーさんの言うままに確認すると、盗られている物も無い。そのまま「ありがとう」と受け取った、ということに違和感を覚えない素直な学生も多いだろう。

ここでの「2つの失敗」とは、日本のおける「安全神話」と「人権意識と抗議行動の弱さ」によるもので、それは日本社会と国際社会の「認識の差」に他ならない。少し見知った人だからといって素性のわからない人を信用してしまったことや、逮捕時に「誤認逮捕だからすぐ釈放されるだろう」と楽観視して、英語がよくわからないこともあり、相手のなすがままに従っていたら、思わぬ方向に事が進んでしまったのである。

先生は学生に問いかけながら、日本にいるとわからない認識の違いを浮き彫りにしていく。
「海外では、荷物の中身の確認は自分で隅々まできちんとやらないといけないし、まず人を信用して荷物を預けたりしないこと」などと、先生はここで国際社会での実践的な助言を与える。この「事件」後、空港の防犯対策は強化されてきているが、「まだまだ意識は甘い」と先生は言う。「海外旅行に行きたい」という学生には、「知らない人から物を預からない」など海外で注意すべきことを、普段から口を酸っぱくしてアドバイスしているそうだ。
「実際、海外研修の引率をした際に『あぁ、この授業で教えている事を知っていたら』というケースが結構ありました。参加者は事前に『アメリカ文化事情』のクラスは受けていて、そこでもアメリカという国がどういう国か、というような知識を教えているのですが、ここまで具体的なケーススタディはやらないので、このような知識を海外に行く前につけてもらっていたらよかった、と切に思いました」
学生からも授業中、「あぁ、あの時のトラブルは、こういうことだったのだと今わかりました」と、研修時の実体験を思い出して理解してくれた学生もいるという。
「学んだ知識」は「現場で活きる」ことによって、より定着する。旅行にしろ、留学にしろ、海外に行く予定のある人は、事前の受講を勧めたいクラスである。

そもそも「アメリカ文化」を学ぶ初学者用にデザインしたという「比較文化a」は、基礎ともいえるクラスだ。(bは文化全般を扱い、統計を使った社会調査なども含まれる)
「今後は、基礎のこのクラスと『アメリカ文化事情』のクラスに、実地演習として海外研修も組み込んだ形で再構成し、さらに進化させられたら」
と抱負を語る先生の頭の中は、次から次へと湧いてくるアイディアでいっぱいのようだ。

「グローバル・シチズン」としての異文化理解の必要性

先生が授業で使用する教材は、自分でも「なるほどな」と思ったものを使用する。ケーススタディで紹介する実話は、日本の大学院での恩師の著作「ケースで学ぶ異文化コミュニケーション:誤解・失敗・すれ違い」からの採用も多いが、今話題となっている国際問題も取り扱う。

展開される順番も成熟度に合わせて考えられているそうで、昨年のプログラムの最後二つに「くじら」「国際問題」というテーマがあったが、「くじら」の回は、今まさに国際的に議論がかわされている「日本の捕鯨問題」を扱った。
日本の捕鯨および鯨食文化を扱ったアメリカのドキュメンタリー映画の『ザ・コーヴ(The cove)』と日本人監督によるドキュメンタリー映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』という視点の異なる二つの映画の一部を見せて、「これはどちらの視点?」「これについてはどう思う?」などと学生に問う。どちらが「良い」とか「悪い」とかではなく、多様な視点を持ち、異論も受け入れることが目的だ。
「日本は昨年国際捕鯨委員会から脱退をしているのですが、それはどうしてなのか、また、もともと日本は鯨をどのように扱っていたのかなどを勉強しました。少し硬い内容なので、『鯨の肉って食べたことある?』『今は給食には出ない?』などと興味をひく質問から入り、『先生の時代はカレー味だったよ』など自分のエピソードを具体的に話すと、学生も具体的な発言をしてくれます」
それから、「なぜ私たちは鯨は食べるのに、イルカは食べないの?その違いは何?」などと質問の難易度を上げていくそうだ。

しかし、先生の誘導力がすごい。最初は学生の興味をひくように楽しい話から始め、質問の仕方も、学生がより興味を持って発言したくなるように、イエス・ノーで答えるクローズドクエスチョンや自由に回答させるオープンクエスチョン、挙手などを織り交ぜ、学生の考える力が自然と向上するような導きをしている。
「いえいえ、今でもどうやったら伝わるだろうかと手探りでやっているんです」
と先生は謙遜するが、その熱意に触れるだけでも勉強意欲が湧きそうだ。

「ホストファミリー」と題された回は、日常の事だけに「文化の相違」が想像しやすいケースである。
初めて東欧から留学生イベッタを迎えてホストファミリーとなった斉藤一家。しかし、イベッタは歓迎パーティーの料理は口に合わないと言うし、不在の間に部屋を掃除しておいてあげたら嫌がられるは、シャワーを自分の都合で使用するは、斉藤家からするとイベッタは感謝心のないわがまま娘の振る舞い。けれども、イベッタからすると、料理が口に合わないことを正直に伝えただけで憤慨されたり、「掃除は自分でします」と言ったら気分を害されたり、「シャワー使ってね」と言われて使っているのに不満を言われたり、訳がわからない。結局険悪な状態になり、イベッタはアパートに移った、という実話である。

授業は、「問題」と「解決策」を学生に考えさせる(対面で授業が行われていた昨年は、これらはグループワークで議論されていた)のだが、この時、「斉藤家視点の問題」と「イベッタ視点の問題」の二つがあるのがポイントだ。「くじら」の時と同様、それぞれの立場、視点で考え、ひとつの事象を多面的なストーリーで比較していくのである。

おそらく日本人の多くは、斉藤家の視点に同意するだろう。でも、イベッタの言い分を聞いた時、単純にイベッタが「悪い」と言えるだろうか?斉藤家の「好意」は、イベッタのような自立した考えを持つ者にとっては「過干渉」ではないか?また、「ハイコンテクスト文化」と言われる日本では「言わないでもわかる」といったことが期待されるが、自分の意思ははっきり明言するという文化で育った人には、そういった「空気を読む」的なことは当然できないし、理解もできないだろう。

「その違和感が、単なる個人の性格に結びつけられるものなのか、その人の背後にある文化の影響によって生じているものなのか、理解しないといけないのです。特に今のグローバル社会において文化を研究する人たちの間では、この地球を『グローバル・ヴィレッジ(地球村)』と呼んでいるように、ある意味境界線の無いひとつの村に住んでいるようなもので、そこに住む人びとは『グローバル・シチズン(地球市民)』と呼ばれています。そういった中でうまくやっていくためには、それぞれ違うバックグラウンド、すなわち文化を持っていることを理解しなければいけません」
人のバックグラウンドは人それぞれなので最終的には「個」なのだが、それを前提にしながらも、わかりやすいようにある程度「国」などの地域や文化のグループ単位でくくって、その「傾向」をケーススタディで見せていると言う。

排他的な「自文化中心主義」と多様な価値を認める「文化相対主義」

自分たちの文化の価値やものの見方を絶対視し、それを尺度(ものさし) として他の文化に対して価値判断をくだそうとする見方を「自文化中心主義」という。
対して、どの文化も固有の環境において作られた個性的なものであり、それなりの形を持つとする見方を「文化相対主義」という。

「ホストファミリー」の回では、斉藤家とイベッタの話の後「ルビンの壺」というひとつの画像を学生に見せた。人によっては「壺」にしか見えないが、「向かい合う二人の人物」に見える人もいる。これはどちらも正解の多義画像で、人間は自分が興味を示す対象以外を「その他」と認知してしまうと、「その他」を自覚しなくなるという「ゲシュタルト心理学」を示しており、「壺」だと思ってみると壺にしか見えないし、「二人の人物」だと思ってみるとそのようにしか見えない。つまり「自文化中心主義」は、自分のフィルターで決めつけて見てしまうと、その他の可能性が認識できなくなる。先のケーススタディでいうと、斉藤家、イベッタそれぞれは「自文化中心主義」で事態を判断してしまっているからこそ、「違和感」が生じているのだといえる。
その「違和感」がしばしば「軋轢」や「ストレス」になり、トラブルの元となる。それを解決するには、「Aもあり、Bもあり」とそれぞれの存在を認める「文化相対主義」的な認識を養う必要があるのだ

先生はしばしば「自分の常識は、人の非常識に当たることもある」と言う。
例えば「トイレの表示」ひとつとっても、私たち日本人は日本で見る表示を「当たり前」と思っているが、実は「トイレの表示」は世界共通ではない。ニューヨークなどでは「オールジェンダー」の表示があるし、マークの便器が水洗トイレではないものもある。海外に行ってその「違い」を目にして驚く人も多いだろう。
「日本は島国で鎖国していた時代も長かったせいか、良い部分も多いですが、外から異質なものを受け入れることに関しては苦手な部分もあります。日本だけで普通に生活していると、『こうでなきゃいけない』『こうあるべきだ』『こうしなくちゃいけない』『良い悪い』という視点になりがちですよね。そこから『Aもあり、Bもあり』になれたらいいね、ということを授業の最初に学生に言います」

またその人の周囲環境も、その思考に大きく影響すると言う。
「日本にいても普段から海外の人と交流がある人は、多様な価値観を学んでいます。また、インターネットによって世界がグローバル化し、多様な価値観に触れる機会が増えています。今まさにコロナウイルスでオンラインによるコミュニケーションが強化されているので、コロナウイルスが収束したらどうなっているのか、という期待があります」

このクラスのシラバスに「多様な文化の共生・共存を目指す」とあるので、もう少し詳しくその真意を聞くと、
「『異なる価値観の人と仲良くする』ということに限らなく、『異なるものの存在を認める』ということでよいと思います。完全な相互理解は難しいですから『寄らず触らず』もあっていいと思います」
と現実的な考えを述べてくれた。

最後の授業の時に、「文化の違いを知ることが、とても楽しくなりました」と授業の感想を伝えてくれた学生がいたそうだ。
「違いを面白いと思えるというのは、Aもあり、Bもあり、という視点が養われているのだと思います。こういうことを目指して授業をしているのですが、実際に学生からコメントとしてもらうと、成果を感じてとてもうれしいですね」

「目に見えない境界線」は「聞く」ことで超える

さらにグローバル社会の今は、複数の国で生活して様々なバックグラウンドを持つ人びとがいるように、「国籍」だけではその区分ができない。
「個性とは別に、それぞれある集団の中で育まれてきたものを持っているので、一概に○○人だから、とはくくれないのです」
そういった考えは、先生自身がリアルな実感として得たものだ。

久保田先生は日本で生まれ、アメリカの大学を卒業した後、アメリカ企業に入社し日本支社に勤務。日本とアメリカ、アジアを行ったり来たりしながら多忙なビジネスライフを送った。
「日本支社に勤務することになり帰国してわかったのですが、私や同じようにアメリカの学校出身の日本人は、他の日本人社員とはちょっと違うわけです。『日本』という国籍で区切れるものじゃなく、その人が育ち、生きてきた組織やバックグラウンドで異なるのです」

先生自身、留学や企業での社会経験で、様々な苦労をしてきたと言う。
「言葉ではないコミュニケーションの壁に当たることがよくあり、『どうして?』と思っても本人に聞けない。その疑問をそのままにして社会人になったのですが、日本に帰国したら、今度は日本人が話している事が理解できなかったりして、『どうして最初からはっきり言わないんだろう』などとストレスを溜めた時期もありました」
日本から海外、海外から日本の双方向のギャップを経験した先生。「しょっちゅう悔しい思いをしていました」と笑うが、その悔しさを乗り越えようとした努力と探究心が今の研究につながったと思うと、先生のタフな一面もうかがえる。

企業で働く中で先生は、「相手が満足するコミュニケーション」というものが常に念頭にあったと言う。
「顧客だとか上司だとか相手によって立場も要望も違うので、そのコミュニケーションも変わってくるのだということを、企業に入って学びました。相手が興味を持ってくれない場合は、何が原因で、どうすれば解決できるのか模索しました。そうした企業での経験が、学生たちへの伝え方という面で応用できているんじゃないかな」
先生の授業でのあの「工夫力」の源泉も、困難を乗り越えようとする先生の努力と探究心にあるようだ。
また、日本企業で育った人たちが外資企業に転職してきて、本国のやり方をなかなか理解できず苦労しているのを見て、こういったミスコミュケーションの疑問を解決したいと思い、結婚後フリーランスで翻訳の仕事などしながら大学院へ通い、「異文化」の勉強をして修士を習得したそうだ。

ミスコミュニケーションの場には、先生の言う「目に見えない境界線」がある。
「目で見て違いがわかる文化の相違点というのは、すぐに違いがわかるのでよいのですが、問題はコミュニケーションしてみないとわからないというような目で見えない相違です」
そういった現場の「目に見えない境界線」を超えるには、「文化の理解」という大きな知識より、目の前にいる人に「なぜ、そう思うの?」とか「なぜ、そういう言い方をするの?」と「聞く」ことが手っ取り早いと言う。
「聞く、ということは『傾聴』という言葉もあるように、コミュニケーションで一番大事な事だと思うのです。会話のラリーが続けば、相手をより知ることができます。でも日本人は会話のキャッチボールが下手と言われているように、あまり質問しないですよね。質問することは、『理解できなかった』とかネガティブに捉えられやすい傾向があるからかもしれませんが、そうではなく会話を広げる『手法』として積極的に活用すべきです。例えば、クローズドクエスチョンとかオープンクエスチョンというような質問スキルがありますが、そもそも日本人はそういったスキルも教わっていないのです。私の他のクラスでは、これらのスキルの長所や欠点もふまえて、その活用術を教えています」

国際社会で必要とされる能動的姿勢を身につける

「文化の違い」のひとつではあるが、日本語と英語という言語的なコミュニケーションスタイルの違いもある。

例えば、「恋愛感情を持てない男の子からデートに誘われたとしたら、何と言って断るか」と毎年学生に聞くのだそうだ。
日本では「行かない」と答えるだけで相手は引き下がってしまうかもしれないが、英語圏では相手は納得せず「どうして?」と理由を聞かれるだろう。
「私は映画に興味がないし、あなたにも興味がない」とか「あなたに興味はあるけど、その日は予定があるから行けない」などと、きちんと理由を述べることが必要になってくる。

先生は自身のアメリカ生活の体験から、英語圏文化では「自分の考えを述べる」というように、「能動的であること」の重要性を痛感している。
そんな先生の行動は、常に「能動的」だ。4月からの授業がオンラインで行われる、と決定し、時間のない中、先生は様々な手法を調べ、検討した。なんとGoogleのJamboardにもトライしたという。
「当時は日本よりもアメリカの方が、オンライン授業に関しては先行していたので、アメリカの人たちが無料で行うセミナーなどにオンライン参加しました。時差があるので、朝5時からとか夜10時からとかのものに出て、そこで紹介されている様々なツールを試してみたり、関連するYoutubeなどもすごく見ました」
困難に出会っても、能動的で迅速な行動で、乗り越えるどころか新しいスキルまで獲得してしまうのは、やはりアメリカ生活を経験している先生ならではだと感心する。

「英語コミュニケーション学科では、『英語ができるようになったら留学したい』とか『国際的な仕事に就きたい』という学生が多いのですが、たとえ英語ができても“日本人”の感覚のままいくと、国際社会ではその感覚を受け入れてもらうのは難しい部分があります。対等にやっていくためには、英語だけではなく、自分から能動的に参加する、というような姿勢が重要です」
先生は1年生の最初の授業から、「予習をきちんとして、先生が何かその内容に関して触れたらすぐに、自分から積極的に反応して参加できるようになってほしい」と強く訴えているそうだ。
「学生には、国際社会に出るのであれば、もっともっと養わなければならないものがあるので、今のままではだめだよ、というメッセージを込めて授業をしています」
と言う先生の言葉から、学生の将来を真剣に考える愛と熱意がひしひしと伝わってきた。

学生だけでなく、ぜひ一般にも公開してほしいクラスである。

久保田佳枝准教授のプロフィール

英語コミュニケーション学科 准教授
専門分野:異文化コミュニケーション、異文化マネジメント、国際経営学、組織行動

米国University of California, Los Angeles社会学部卒、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士前期課程修了後、異文化コミュニケーション学修士修了。

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