山根 純佳先生
自分を変える/社会を変える
![山根 純佳先生](/learning/human_sociology/interview/vpbrbb000000wv9g-img/01_yamane.jpg)
山根 純佳(YAMANE Sumika)/人間社会学科
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了(博士・社会学)
山形大学講師・准教授をへて2015年から現職
Q1. 先生の研究分野は何ですか。その研究を始めたきっかけは何ですか
![](/learning/human_sociology/interview/vpbrbb000000wv9g-img/03_yamane.jpg)
専攻は社会学、研究分野はジェンダーと再生産/ケア労働です。家庭で高齢者や子どもの生命を支える労働があって、社会は持続可能になります。しかしこの社会に不可欠な労働である再生産・ケア労働のために、女性の就業継続が困難になったり貧困に直面したりという状況は、なかなか改善されていません。また育児であれ介護であれ、他者の世話をするケアという活動は、「やさしさ」だけでできるものではなく、他者のニーズや状況に対する認知・判断能力やコミュニケーションを必要とする複雑な労働ですが、ケアを担う女性が経験する困難や負担が十分に認識されていません。家族内で男性がより「ケアする主体」になるようなケアの平等化と、ケア責任を社会で分有し有償(労働市場)のケア労働の経済的評価をあげるような制度がいかにして可能か考察しています。
Q2. 先生が担当されている授業の中で、学科を決める1年生やゼミを決める2年生におススメの授業は何ですか
![](/learning/human_sociology/interview/vpbrbb000000wv9g-img/02_yamane.jpg)
2年生から受講できる「女性と労働」です。日本における男性稼ぎ手モデルの生成の歴史,現代の雇用において女性が置かれている条件,家庭内のケア労働と女性の脆弱性の関連について福祉国家の政策などととりあげて考察します。どのテーマも私たちの家庭生活で起こっていること,これから学生が労働市場で直面する身近な問題です。本講義ではこれまでのジェンダー・フェミニズム研究の蓄積や概念を踏まえて、「女性と労働」の歴史と現在をわかりやすく講義しています。
Q3. 先生のゼミはどのような活動をしていますか。どんな雰囲気ですか
ゼミでインタビュー調査やフィールドワークを実施しています。男性が育休をとった世帯の夫婦両方へのインタビューはZoomでの実施でしたが、データを分析して調査報告書にまとめました。報告書の作成はとても大変な作業でしたがゼミメンバーそれぞれの力を集結して、報告書を完成させました。このような調査はインタビュー調査での卒業研究にも役立ちますので、ぜひみなさんに参加していただきたいです。
Q4. 先生のゼミでは、どのような卒業論文のテーマがありますか
デートDV・性教育の実態について(アンケート調査),子育てとの両立・家庭内の家事の分担について(アンケートやインタビュー),LGBTQの教育や自治体の制度について,保育・介護サービスや労働の実態について(インタビュー調査)、子ども食堂の実践について(インタビュー調査・フィールドワーク)CM・ドラマ・映画におけるジェンダーの変容について(メディア分析)
Q5. 先生の大学時代の楽しかった思い出は何ですか
自分の学部にはない哲学の授業を受けたくてよく他学部の授業を聴講していました。今よりも小説や哲学の本をよく読んでいました。あとは学生らしく遊んだりバイトしたりしていました。吉祥寺のレコード屋でバイトをしていたので、中央線に乗ると学生時代を思い出します。ライブハウスにもよく行っていました。
Q6. 受験生に人間社会学部に入学したら、どのような学生になってほしいですか
自分の目標を達成したり、現状を変革するためには、他者と「問題」「課題」を共有し協働していくことが必要不可欠です。人間社会学部の4年間のあいだに獲得する概念(言葉)や情報を分析する能力はそのような協働と社会変革の糧になると考えています。どのような職に就くかにかかわらず、自分の世界や社会を切り拓いていってほしいです。